【はじめに】 宮司のコラム「神明さまのよもやま話」をはじめるに当たって
「神社の特徴」と言いますか「神社の神社たる所以」というのは、もしかすると「引っ越さないこと」ではないかと、私はこのごろ思うのです。
もちろん、神社もごく稀に特殊な事情により引っ越す場合もあり、これをご遷座と言いますが、ひとたび其処に祀られたなら、幾百年、幾千年とその地に鎮まり坐しますのが、まずは普通でしょう。深川神明宮も、深川八郎右衛門翁がこの森下の地に神明を奉祀して以来、四百有余年の間、動くことなく同じ処にあるわけです。その点、お寺さんは、森下から猿江、そして今は市川の国府台と変遷した神明宮別当の泉養寺の例にもあるように、ときには移転することもありますし、いわんや神社仏閣にあらざる一般のお宅や会社は百年の間も移ろわない事は稀でしょう。そうしますとやはり、「引っ越さないこと」を「神社の特徴」として挙げることは、大方のご賛同を得られるのではないでしょうか。
この、「引っ越さない」「動かない」という神社の性質は、必然的に神社には昔からの話がいろいろと語り継がれる、という結果を招来します。実際のところ、私のところには、お宮に関わることはもとより、町内のこと、興味深い人たちの消息など、もろもろの興味深い話が蓄積されているような気がいたします。それを、私一人の楽しみにするのは何か勿体ない気がいたしまして、ここに「宮司の四方山話」と題して、語り伝えるのも無駄ではなかろうと思われるお話を、一つ二つと順番に書き残してみよう、と考えた次第です。
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第二回 宮神輿のこと
第一回 林家と神明宮
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